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そして機関士も乗客もいなかったので、ぼくは難しい修理をたったひとりでやりとげようと準備した。それはぼくにとって生きるか死ぬかの問題だった。もっていた飲み水はわずか一週間分しかなかった。
 そのため最初の晩、人の住んでいるすべての所から、はるかに離れた砂の上でぼくは眠りこんだ。大海のまんなかでいかだに乗って漂流している人よりも、ずっとひとりぼっちだった。だからきみたちに想像してほしい。夜明けに、不思議なかわいい声でぼくが目覚めたときの驚きを。その声はこうだった。
 「おねがいします. . . ぼくに羊の絵をかいて!」
 「えっ!」
 「ぼくに羊の絵をかいて. . . 」
 ぼくはまるで雷に打たれたように飛び起きた。目をしっかりこすって、よく見た。すると真剣にぼくを見つめている、まったく不思議なぼうやが見えた。あとになってぼくがその子を描いた一番いい絵がこれだ。しかしぼくの絵はもちろん本物よりもずっと魅力がない。それはぼくのせいじゃない。六歳のとき、大人たちによって絵かきの道をはばまれてしまったんだ。そしてぼくはボアの内側や外側を描くのは別として、絵の描き方をぜんぜん学んでいなかった。
 それでぼくは目を大きく見開いて現れた子を見つめた。ぼくが人の住んでいるすべての地域から、はるかに離れた所にいたということを忘れないでほしい。ところがぼうやは迷子には見えないし、死ぬほど疲れていたり、死ぬほどおなかがすいていたり、死ぬほどのどがかわいていたり、死ぬほどこわがったりしているようには見えなかった。

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